医師の当直バイトって、高額な時給が話題になったりしますよね。
でも、実際に働いている医師の立場からすると『正直、本当にきつい…!』というのが本音ですね。
今回は、そんな医師当直バイトのリアルな実態や、私が日々どんな風に過ごしているのか、少し詳しくお話ししてみようと思います。
30代前半の男性内科医です。関西の国立大学医学部を卒業後、大学病院勤務を経て大阪市内市中病院で10年間救急・総合内科に従事しました。その後、母校大学院での研究時間確保とワークライフバランス改善のため、非常勤医師へ転職。医師の当直バイトの実態などリアルな現実を書きます。
この記事の目次
医師当直バイトはきつい?30代現役医師が語るリアル実態
私自身の正直な感想からいうと「かなりきつい」です。
私は内科医として月に4〜5回ほど当直バイトをしていますが、翌日の疲労感は相当なものですね。
ただ、お金は効率よく稼げるので、体力的に自信がある人はやってみる価値はあると思いますよ。
↓医師当直バイトのリアル時給についてはこちらで書いています。
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医師当直バイト時給のリアル。「時給2万も可能」は本当?5年目現役内科医のリアル体験談
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医師は当直中何してる?コールがない時間の過ごし方は?
「当直中、コールがない時は何をしていますか?」
この質問には、日によって全く違うとしか答えようがありません。
落ち着いた当直であれば、仮眠室で論文を読むことも可能ですが、そんな日は稀です。
多くの場合、次の緊急事態に備え神経を張り詰めています。
仮眠については90分サイクルで睡眠を目指していますが、実際には30分うとうとすると緊急コールで起こされることも多いです。
このような細切れの仮眠では疲労は回復しません。
むしろ消耗する感覚さえあります。
バイト先の当直室のベッドはお世辞にも快適とは言えません。
ですから私は個人で耳栓、アイマスクを持参します。
当直中の飲酒は絶対にNGで、前日の晩酌も控えています。
飲酒がばれて解雇された医師もいますので、絶対にやめましょう。
医師の当直明けの過ごし方は?
当直明けの医師がどんな状態か、想像できますか?
当直明けは本当に廃人状態です。
家に帰ったらまずシャワーを浴びて、そのままベッドに倒れ込みます。
目が覚めると夕方で、起きてもぼーっとして何もやる気が起きません。
昔の友人から飲みの誘いが来ても「当直明けだから」と断ることが多く、だんだん誘われなくなりました。
実は私も当直明けに点滴オーダーを間違えそうになってヒヤッとしたことがあります。
疲労による判断ミスは本当に怖いです。
医師の当直バイトは何歳までできる?体力的にきつい?
医師の当直は、年齢的に何歳まで続けられるか…?
これは多くの医師が抱える、切実な問いだと思います。
私の周りを見ていると、50代後半になると当直を減らし始める医師が多いですね。
なぜなら、夜間の集中力は睡眠不足と疲労で著しく低下するからなんです。
先日、58歳の先輩外科医が話していました。
「体力の限界だ。来月で当直からは完全に引退する」。
寂しそうなその言葉は、とても重く響きました。
「若い頃は当直明けでも平気だったが、今は翌日一日動けないんだよ」。
回復力も若い頃とは比較になりません。
私もまだ30代です。
しかし、20代の頃のような無茶はもう利かないと日々感じています。
個人的には、55歳くらいが体力的な限界かなと感じています。
ただ、当直の忙しさは病院によって全然違うので、慢性期病院の寝当直といった比較的楽な病院なら60代でも可能かもしれません。
医師の当直回数と新制度、現場の負担は本当に減る?
医師の当直回数って、実は法律で上限が決まっているのをご存知でしたか?
でも、医療現場ではなかなかその通りにいかない、複雑な事情があるんです。
今回は、そのあたりの現状と、これから変わるかもしれない制度について、私の思うところをお話ししますね。
労働基準法では医師の当直回数は月4回までが上限とされています。
しかし実際には病院の人手不足から、それ以上になるケースも聞きます。
私の知人は月6回も当直に入り、体調を崩してしまいました。
2025年4月からの働き方改革で、この当直回数はさらに厳格化される予定です。
しかし、問題の本質は回数だけではないんです。
人手不足の地方病院では、「上限を守れば地域医療が崩壊する」という悲痛な声が日常的に聞かれます。
先日報じられた、厚労省による宿直規制緩和の動きも気になりますよね。
病院ごとの宿直医配置義務を緩和し、一人の医師が複数の病院を掛け持ちで担当できるようにするとのことです。
この新しい制度、本当に私たちの働き方を変えてくれるんでしょうか…。
正直、期待よりも不安の方が大きいのが今の気持ちです。
医師の当直バイトの1日の流れ(睡眠3時間でかなりきつかった日)
当直は基本的に17時〜翌朝9時まで、16時間勤務が一般的です。
(病院によっては15時や18時スタートの場合もあります)
当直の1日は非常に過酷できついです。
睡眠時間はほとんど取れません。
ここでは、ある当直日の私の体験談を時系列でお伝えしますね。
17:00:病院に到着(出勤)
病院に到着です。
日勤医から申し送りを受けます。
「満床で重症者も多い」と聞き覚悟を決めます。
18:00:夕食をとる
夕食を食べます。
食堂で食べますが、ゆっくり味わう暇はありません。
以前はコンビニ弁当を5分でかき込むこともありました。
19:00:救急外来対応の開始
救急外来対応を開始します。
発熱、腹痛など様々な患者さんが来ます。
専門外の患者さんを診ることも少なくありません。
以前、泥酔し頭部打撲した方の対応では本当に焦りました。
限られた設備で初期対応し専門医に繋ぐ際のプレッシャーは大きいです。
22:00:休憩(仮眠)
仮眠室で少し休憩します。
実際はPHSを握りしめ横になるだけです。
ベッドも快適とは言えず、アイマスクと耳栓は必須です。
23:00:救急搬送に対応
やはり救急搬送がありました。
緊迫した対応が続きます。
2:00:再び仮眠室へ
ようやく落ち着き、再び仮眠室へ向かいます。
5:00:ナースコールで起こされる
ナースコールで起床しました。
「胸が苦しい」との訴えで病棟へダッシュします。
8:30:日勤医師への申し送り
日勤医師へ申し送りをします。
この日の当直勤務の終わりが見えてホッとします。
9:00:当直終了(退勤)
当直終了です。
解放感と同時にどっと疲れが押し寄せます。
こんな日が続くと、本当に体が悲鳴を上げるんです。
睡眠時間が3時間って、皆さんは想像できますか?
翌日はもう、頭も体も思うように動かないんですよね。
もし皆さんの周りに当直明けの医師がいたら、そっと見守ってあげてほしいな、なんて思ったりもします。
これから医師当直バイトに応募する人が知っておくべき基礎知識(注意点)
さて、ここまで当直の厳しさについて色々とお話ししてきましたが、
『それでも自分は当直バイトに挑戦してみたい!』と考えている先生もいらっしゃるかもしれませんね。
以下では、実際に当直バイト求人に応募する前に知っておくべき注意点をいくつか書いておきます。
入職後に後悔しないための大切なポイントをいくつかお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
医師の当直と宿直の違いは?
この違いを知らないと痛い目に遭います。
宿直は基本的に寝ていてもOKで、緊急時のみ対応するいわゆる「寝当直」に該当します。
当直は通常業務として救急対応をガンガンこなす必要があります。
給料も宿直は4〜5万円、当直は6〜10万円と大きく違います。
ただ、求人票に宿直許可ありと書いてあっても、実態は違うことがあるので要注意です。
医師は「当直明けは休み」にすべき
当直明け休みが確保されるかどうか。
これは、自身の健康、そして何よりも患者さんの安全を守る上で、絶対に譲ってはならないポイントです。
長時間労働と睡眠不足が医師のパフォーマンスを著しく低下させることは、数多くの研究で証明されています。
でも実際は当直明けも通常勤務という病院がまだまだ多いです。
私は必ず面接で「当直明けは休みですか?」と確認しています。
当直なしの科(少ない科)の具体例
「もう、こんなきつい当直は続けられない……」
そう感じ、心身の限界から「当直なし科」への転科を真剣に考える医師は、決して少なくありません。
それは決して逃げではなく、医師としてのキャリアを、そして一人の人間としての人生を守るための、賢明な選択肢の一つだと私は考えています。
一般的に当直が少ないとされるのは、以下のような科です。
- 皮膚科
- 眼科
- 精神科
- 放射線科
- 病理診断科
ただし、総合病院などでは全科当直という名のもとに、専門外であっても当直業務の一端を担わされるケースもあります。
医師が当直バイトに応募するなら「休憩時間ルールと実態との乖離」に注意
労働基準法では8時間を超える勤務で1時間の休憩が必要ですが、当直では現実的ではありません。
救急が来れば休憩どころではないですし、食事も立ったまま5分で済ませることもあります。
病院見学の際は仮眠室の環境を必ずチェックすることをおすすめします。
当直中の食事と水分補給のポイント
長時間の緊張と不眠を強いられる当直勤務で医師がパフォーマンスを維持するためには食事が重要です。
水分補給も同様です。
これは戦場における兵站にも等しい問題です。
当直中の食事は時間との勝負です。
ゆっくり味わって食べる余裕はほとんどありません。
私が持参するのは、主に次のようなものです。
- おにぎり
- ゼリー飲料
- プロテインバー
脂っこいものは胃もたれしやすく避けています。
水分補給も意識的に行います。
脱水を避けるため、水やお茶をこまめに飲みます。
コーヒーやエナジードリンクはカフェインの摂りすぎに注意が必要です。
私は開始直後の一杯程度に留め、あとはノンカフェイン中心です。
まとめ
このブログ記事では、医師の当直のきつい実態をお話ししました。
当直は心身共に大変な仕事です。
私の場合は研究との両立という課題があるため、この働き方をかなり長いこと続けていますが、
体力的にいつまででもできる働き方ではないな…と感じているのが実際のところです。
もちろん、若くて体力に自信がある人や経験をどんどん積みたい人、
あるいは空き時間なんていらないのでお給料を稼ぎたい人は、当直バイトをやってみる価値はあるでしょう。
もし医師として当直バイトを考えているならご自身の健康を第一に、無理のない範囲で判断してくださいね。