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企業法務の転職(実務経験者)

一人法務の仕事はきついからやめとけ?実務経験者が語る業務内容や給料のリアル実態

月収200万円を稼げる職業にはどんなものがある?

月収200万円を稼げる職業にはどんなものがある?

  • 一人法務の仕事はきつい?
  • ネットで「一人経理はやめとけ」という意見もあるけど実際どう?
  • 実務経験やスキルはどの程度あれば採用される?
  • 給料は高い?安い?

企業規模の小さい中小企業やベンチャー企業では、社内の法務担当者が一人しかいないケースが少なくありません。

いわゆる「一人法務」というやつですね。

一人法務は社内の法務の仕事をすべて1人で処理しますから、責任やストレスはかなりのものです。

なるべく楽な仕事をしたい人や、大きな責任を任されたくない人には「やめとけ」とアドバイスするかもしれません。

ただ、一人法務の経験は法務職としてのキャリアアップにつながりますし、人間関係のストレスが少ない点は魅力です。

なので、あえて一人法務という働き方を選択する人も多かったりしますね。

この記事では、実際に中小企業の一人法務として働いている私が、一人法務の雇用環境やお給料のリアルな実態をお教えします。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

一人法務の仕事はきつい?つらい…と感じる瞬間5個

↓一人法務の仕事をしていて「きつい・つらい」と感じる瞬間としては、以下のようなことがあります。

  1. 社内のルールができあがっておらず手探り状態…がつらい
  2. それって経営者が判断すべきことでは?みたいな仕事が来てつらい
  3. 契約書に関することを丸投げされてつらい
  4. 他部署のミスで謝罪に同席させられてつらい
  5. コンプラ違反の片棒をかつがされそうでつらい…

それぞれの内容について詳しく説明していきます。

 

1. 社内のルールができあがっておらず手探り状態…がつらい

一人法務だと、社内における法務の方向性について明確ではなく手探りで進めるところがあります。

上司もおらず、経営陣も「法務は必要だけど方向性はよく分からない」といった状況です。

法務のスタンスとしてどういう契約書の中身を作ってほしいのか、打ち出しはないのに契約書の内容審査や作成依頼は次から次へとやってくるため、

業務量の多さもさることながら精神的にも疲弊してしまいがちなのです。

そんな時は半ば開き直って、とりあえず自己流でやってみることを心掛けたりしています。

最初は不安もありましたが、自分の意見がそのまま生かしてもらえるということもあり、法務草創期を自分が作り上げているという楽しみもあります。

中小企業における一人法務ならではの経験だとも言えるでしょう。

 

2. それって経営者が判断すべきことでは?みたいな仕事が来てつらい

一人法務をしていると、経営者が判断するべき内容を業務としてまとめることもあります。

その最たる例が、コーポレートガバナンス報告書の作成です。

株式を上場している会社では、コーポレートガバナンス報告書の作成が求められます。

会社法に関連するものであるため、「コーポレートガバナンス報告書は法務でまとめて提案して」と経営会議の資料作りを頼まれるのです。

しかし、コーポレートガバナンス報告書の内容には、社内のガバナンス体制の考え方のほか、人材育成方針やサステナブル経営など、

会社が今後どう歩むべきかを示す、まさしく経営判断に関する事項も少なくありません。

「それって法務で決めていいの、経営者の判断ではないの」と躊躇しながらも、他社の記載事例を参考にして処理をすることもあります。

 

3. 契約書に関することを丸投げされてつらい

会社によっては、契約書に関することは法務に全部任せよう、というような空気もあります。

法務担当として社内にアナウンスされ、初めて依頼された案件の話しです。

契約書に賠償責任額の上限について記載がありました。

「上限額を設けても大丈夫なの?」と聞かれ、むしろこちらが聞きたいですという言葉を飲み込みながら、当社にとっての具体的なリスクについて説明しました。

経営陣が取引先とのパワーバランスで上限額を設けても仕方がないと判断したのならそれでもよいし、

リスクがあるから削除することを交渉しようというのならそれでもよいと思います。

法務にその点の判断を求められても困るというのが正直なところなのですが、「契約書のことだから法務で決めて」みたいな雰囲気はよくあります。

 

4. 他部署のミスで謝罪に同席させられてつらい

他部署のミスで謝罪に同行させられるのも一人法務のつらいところです。

私自身も、謝罪に同席してほしいとの依頼を受けることがありました。

なぜ法務が同席するのか、事情を聞いてみると、当社のエンジニアによる設計ミスが発覚し、顧客への謝罪の場で法的に不利なことを言わないようにしたいとのことでした。

気持ちは分からなくもないのですが戸惑います。

案の定、謝罪の場で顧客に名刺を渡した時、顧客は明らかに不思議そうな表情を浮かべていました。

話し始めたあとも、当社担当者は私の方をキョロキョロみてきて、本当にこれでいいのという不安げな表情を見せています。

顧客にこれ以上不信感を与えてはいけないと、腹を決め、途中から私が交渉の中心になって話しました。

あとで、当社のエンジニアから、助かったよありがとうと言われましたが、こんなこと大企業の法務ではない経験かなと思います。

 

5. コンプラ違反の片棒をかつがされそうでつらい…

法律を学んだ身としては、コンプライアンス違反の片棒をかつがされそうになることも精神的にこたえます。

当社の設計ミスの謝罪の場に同席した際の、もうひとつの驚きエピソードです。

「事実と異なる契約書作れる?」と、

突然、顧客も当社のエンジニアもこちらを見て相談を持ちかけてきました。

どういうことですか、と聞いてみたところ、

「終わってない業務を終わったことにする覚書って大丈夫?」との意味のよく分からない相談が寄せられました。

絶対ダメですよ、と心で思いながら話を聞くと、後々の請求処理では両者にとってそれが都合が良いとの説明がありました。

都合が良いこととコンプライアンス違反は天秤にかけられないと話し、嘘の契約書作成という事態は避けられました。

こういったエピソードが出てくるのは、一人法務は、社員からみても何を助けてくれる存在なのかよく分からず、

何か抜け道を知っているのが法務と捉えられているからだと思います。

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一人法務に求められるスキルや実務経験はどの程度?

さすがに未経験だと厳しいと思いますが、

なんらかのかたちで法務にたずさわった経験があるなら、一人法務への転職は可能だと思います。

企業の法務部で働いた経験がある人はもちろん、社労士事務所や弁護士事務所で経験がある人など、

少しでも法務に携わったことがあれば、一人法務への転職のチャンスはあると思いますよ。

私の場合、従業員450人ほどの中小企業に一人法務として転職しました。

それ以前は社会保険労務士事務所で働いていたのですが、実務経験としてアピールできたのは労働法関連の実務経験だけでした。

(資格はビジネス実務法務検定2級を取得していましたが、労働法関連以外の法務実務は未経験)

「一人で会社の法務全てを担当する」というと、かなりの実務経験が求められそうな感じがしますが、実際にはそれほどでもありません。

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一人法務の給料ってぶっちゃけどう?

現在の私の給料は、毎月の手取りが35万円、ボーナスは年2回であわせて手取りが130万円です。

毎月平均して30時間残業し、残業代は月80,000円前後という状況です。

私の会社では、法務の一環として株主総会の運営を行っているため、決算から株主総会終了までは繁忙期となります。

この時期は、残業も月60時間近くとなり、その分給料の手取りも月50万円近くになります。

なお、一人法務の場合、固定残業代の求人はお勧めしません。

急な依頼で契約書の作成や内容チェックが入るときもあり、一人でこなす必要がある中で、案件が重なってしまうと遅い時間まで残業することになるからです。

求人を探す際には、契約書作成などの一般的な法務作業から始まって、マネジメントまでの領域にステップアップしていける可能性があるかどうかを重視しましょう。

 

まとめ

今回は、一人法務の仕事の大変さや実務の内容、給料について説明しました。

一人法務として働く上で大切なのは、業務範囲を明確にし、自分で判断できることとそうでないことを整理することです。

業務負担が大きい面はありますが、社内の仕組みを整えたり、法的リスクを防いだりすることで、やりがいを感じられることもあります。状況に応じて対策を考えながら進めるとよいでしょう。

この記事が、一人法務の働き方を考える際の参考になれば幸いです。

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